金子 悟さん(協力隊OB in 山県市)

任期中に芽生えた使命感 伝統産業でまちをPR

2017年の3月に、地域おこし協力隊としての3年間の任期を終えた金子悟さん。伊自良大実柿の柿渋染めを地元に根付く産業に成長させたいと、任期終了後も山県市に残ることを早い段階で決意していました。

「地域おこし協力隊の3年間は、すべて今に向けて動いていたと言っても過言ではないですね。山県市はロケーションが良いので、自力でいろんなことを体験しつつ暮らしていくのも楽しいかなと、来たときから定住を決めていました。しかし、活動を続けていくうちに、次第に考えが変わりました。地域の方に助けられていく中で、「伊自良大実柿を、もっともっと山県市のPRに繋げたい。さらに地元の産業としての仕組みづくりをしていかなくてはいけないという使命感が芽生えました」と熱い思いを語ります。

地域おこし協力隊は仕事としての活動であり、起業に向けての準備もあった金子さんは忙しい毎日を過ごしました。「田舎での生活は、決してスローライフではありません」と語ります。

▲地域おこし協力隊在任中は、原料である柿の木の管理も請け負いつつ、柿渋染めの普及にあたっていました。

地域の方や家族に支えられて 柿渋染めのさらなる発展に向けて

移住前は、大手小売店の販売員として働いていた金子さん。日本各地で震災や災害が頻発する中、「何かあったときに自分で生きていける力を養いたい」と思っていたそうです。そんなとき
に出合ったのが、山県市にしか存在しない伊自良大実柿を用いた柿渋染め。デニム好きが講じて、染色を独学で学んでいたときのことでした。

「日本人らしいことをしたいとか、田舎に住みたいとか、いろんなことを思っていましたが、柿渋染めを知ったときに、この文化を復活させて継承させていくことに魅力を感じました。当時は独身だったこともあり、山県市がどんなところで、地元の人がどんな生活をしているのか知らぬまま、一も二もなく飛び込みました。ゼロからの復活ということで、仕組みづくりから関われるのも魅力でした。山県市は車社会。ペーパードライバーだったので慌てて練習したりしましたけどね」と微笑みます。そして、金子さんは、約50年前に途絶えた柿渋を、地域の皆さんと一緒に復活させました。

▲柿渋染めは風合いを楽しむだけでなく、防腐や防虫、抗菌、消臭、防水の効果があるといわれており、様々な製品に加工されています。

金子さんにとって、あらゆることが初体験。これまで地域の人々の助けに支えられてきたといいます。やがて妻の愛さんと出会い、結婚。家族が増え、地域交流はますます増えたそうです。 産業としての発展も重要だと考え、任期中は柿渋染め商品の製造・販売などを行う会社「柿ZANMAI 」の起業を視野に活動。地域おこし協力隊の任期が切れる前に後任を決め、引き継ぎと起業準備を同時に進めました。

「任期中は、退任後のあり方も考えながら活動していました。柿渋染めを復活させた今、産業化がメインです。産業は、地域の考え方やスピードに合わせていかないと根付いていきません。退任後もここを拠点に様々な活動ができているのも、産業化を現実にできているのも、地域の方や後任の加藤くんのサポートがあってこそ。一人ではできません」と微笑みます。地域一丸となって取り組む活動のさらなる発展が楽しみです。

金子さんに聞きました!

移住に関する情報をどうやって収集した?

移住目的で情報を収集していたわけでなく、染色に興味があり柿渋染めを調べているうちに山県市伊自良を知り、今に至ります。

移住に関して大変だったことは?

移住前はペーパードライバーでした。車が必須の地域なので、練習しました。

現在の住まいは?

地元の地域おこし協力隊の方が手配してくれた家に住んでいます。

現在の仕事は?

柿ZANMAIの運営や経営とアルバイトを兼務しています。

これからの夢は?

「柿で生きていく」。まずは産業化させ、海外でも有名にしたいです。

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