墨 祐哉さん(空き家改修/賃貸・DIY・リフォームイベント)

NPO法人職員・里山バス運転手
墨 祐哉さん

仕事を通じて直面した失意からの再生

愛知県一宮市出身の墨 祐哉さん。福祉関係の事業をしていましたが、方針の行き違いなどから離脱。人間関係に疲れ果て、日本各地を放浪する日々を送りました。「本当に何もなかったですね」と本人が語るように、かつて友人に泊めてもらったことがある恵那市にたどり着いたときには、文字通りゼロからの出発でした。

「山であれば何かしらの食料があるだろうし、最悪自給自足でもやっていけるのではと思った」と墨さん。しかし「地域や市のイベント、催しには顔を出すように努めました」と当時を振り返ります。

その甲斐あって、墨さんの存在は少しずつ知られていきます。「おっ!! あそこでも見たよな」と周囲に関心を持たれるようになった頃、チェーンソー講座で知り合った人から、同じ恵那市内で天空の里と呼ばれている飯地町というところに空き家があるとの情報を得ました。

▲「すごくよく頑張ってくれていますよ」。地区協議会の委員長で、墨さんの上司でもある、いいじ里山バス代表の後藤さんも太鼓判を押します。

人の優しさを感じた再出発の地・恵那

恵那市飯地町を再出発の地と決めた墨さん。早速、空き家を手入れしようと動き始めると、散歩がてら様子を見に来たり、差し入れをくれたりと、地域の人の方が積極的でした。都会とは違う、お互いの顔がよく見える山里の暮らし。一旦は失意の中で疲れ切っていた墨さんにとっては、里の人達の温もりが何よりもありがたかったのです。

そんな地域で墨さんが手に入れた空き家は、昭和の初期に建てられた古民家。住むために必要な改修は、地域の方が応援してくれることになりました。地元の棟梁の指導のもとで、参加者がリフォームの方法を学ぶ塾、飯地てまがい組「空き家と人生のリフォーム塾」で参加者を募り、墨さんの住まいを改修。参加者は焼杉、モルタル練り、土間打ち等を体験しました。

リフォーム塾では、主に不用品を活用して古民家を改修し、予算を掛けずに再生します。当初ドラム缶だった風呂は、地域の方の手で立派な木の浴槽になりましたが、これも不用品をリサイクルしたものです。

▲薪ストーブを設置する夢が叶いました。

新たな家族とともに新しい生活を開始

地元出身の妻と家庭を築き、来年には子どもが産まれます。民家の改修はまだ道半ばではありますが、より力が入ります。地域の皆さんに恩返しがしたい、火を囲んでおいしい酒が飲みたいと、暖炉の代わりとなるストーブも設置しました。

現在の仕事は、地区協議会が運営する里山バスの運転手。その他、NPO法人ぎふNPOセンターで生活困窮者の支援、個人事業として障がいがある人のためのカバンの開発やソーシャルビジネスの開拓をしています。飯地町は山間部ではありますが、携帯電話や通信インフラなどに問題はありません。地方における働き方の答えを見つけようと奮闘中です。

恵那市飯地振興事務所近くには診療所もあり、こども園や小学校も歩いて数分という立地。そしてなによりも、子どもたちは地域の宝、みんなで育てるという環境も子育てにはぴったりです。

墨さんに聞きました!

移住に関する情報をどうやって収集した?

地域のイベントに顔を出し、自らを知ってもらうことから。

移住に関して大変だったことは?

冬は寒かったです。そのぶん、みなさんの温かさには感謝しています。地域や地区の人のつながりは濃いです。それをしっかりと楽しめることが大切ですね。

現在の住まいは?

昭和の初期くらいの建物だと聞いています。リフォーム塾の方々にも手伝ってもらって、2016年から少しずつ手を入れています。

現在の仕事は?

NPO法人に所属しつつ、里山バスを運転。ハンデを持つ人のためのアイテムの開発や支援など、かつての経験を活かして活動しています。

これからの夢は?

里山バスを通して地域に貢献しつつ、障がい者が生き生きと活躍できる商品開発を目指していきます。

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