【公式】岐阜県への移住・定住ポータルサイト 【2019.7.6セミナー】「古民家・町家リノベーション」開催レポート |イベント情報|地方移住・定住は、ふふふぎふ 岐阜県

event

【2019.7.6セミナー】「古民家・町家リノベーション」開催レポート

【2019.7.6セミナー】「古民家・町家リノベーション」開催レポート

7月6日(土)に、今年度、近畿圏で開催する「清流の国ぎふ暮らしセミナー」の第1回目が開催されました。

はじめに、岐阜県清流の国推進部地域振興課の荒川さんから岐阜県の産業や観光地、移住関連の情報について紹介がありました。続いて、恵那市移住定住推進室の沼田さんには、今回のゲストお二人の活躍の場でもある恵那市の魅力や移住者向けの施策について紹介していただきました。

今回のセミナーゲストは、恵那市岩村町で城下町の町家をリノベーションし、シェアカフェ「HYAKKEI」を立ち上げた園原麻友美さんと、恵那市笠置町の古民家をリノベーションして市内唯一の古本屋「庭文庫」を夫婦で営んでいる百瀬実希さん。県外から岐阜県に移住し、古民家を活用して地域とともに生活しているお二人に、「リノベーションのすすめ」をうかがいました。

人とのつながりが、新しいつながりを生み出す

園原麻友美さんは、9年前地元である岐阜にUターンし、以来NPO法人の活動やローカルメディア編集長の仕事を通してまちづくりに関わってきました。昨年に独立し、現在は様々な方法で地域の情報発信に携わっています。今回のセミナーの翌日には、シェアカフェ「HYAKKEI」のオープンが控えていました。HYAKKEIのコンセプトは、何か新しい挑戦をしようとしている人たちを応援すること。菓子製造許可付きのキッチンスペースが設けられたこのカフェでは、曜日ごとに店主が入れ替われたり、ワークショップなどを開けたりと柔軟な利用ができ、誰もが1日から店主にも講師にもなれます。
HYAKKEIの建物は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている恵那市岩村城下町にある築120年の町家をリノベーションした物件です。奥行きが100メートルもある敷地は、蔵や中庭、五右衛門風呂など、長い歴史をもつ物々で溢れています。

園原さん:「まずは、古い家は図面がないので、しっかりとした図面を起こすということからやりました。これはど            の古民家でも一緒かなと思います。図面がないことの方が多いですね。」

他にも、上下水道を新たに引く必要があったり、保全のための規定により建物外観のリノベーションに制限があったりと、古くからある町家ならではの課題は多かったそう。水回りの整備は特にコストがかかり、クラウドファンディングを利用して資金をかき集めました。そんな苦労があったからこそ、職人さんや興味を持ってDIYに協力してくれた人々との交流も生まれたといいます。

園原さん:「DIYをしてよかったのは、こうやってお店を始める前にたくさん仲間ができたっていうことだと思います。この人たちがまた色んな人に発信してくれることで『岩村にこういうお店ができるよ』っていうことが伝わったのもよかった部分です。」

園原さん:「もし地方でお店をはじめて古いものを活かしたお店づくりをしたい場合は、価値観が共有できる工務店さんだったり、設計士さんだったり、実際に施工する大工さんだったりに出会えるかっていうこともすごく大事だなと思いました。」

古材を活用したリノベーションをしたい人にとって古材の山は宝の山でも、普段の生活でそれらを見慣れている地元の人にとってはゴミ同然という扱いがされることもあるそうです。リノベーションを考えて移住してくる人だからこそ、古材の新しい価値が見出せるのかもしれません。

まずは小さなことから始めてみる


 
二人目のゲストは、百瀬実希さん。沖縄県出身の百瀬さんは、大阪や東京での生活を経たのち、2016年に夫の地元岐阜県へ移住し、恵那市の地域おこし協力隊(空き家相談業務等)の3年任期を終えられて今に至ります。

百瀬さん:お金もない、人脈もない、物件もない、スキルもない。私は前職がイベント会社勤務で、夫はシステムエンジニアだったので、小売店をやったこともなければ、本屋さんをやったこともなかった。本当に何もない状況から、ただ、恵那市という場所に古本屋があれば私たちは長くこの町に暮らしていけるんじゃないかな、なら自分たちでやるしかないかもねっていう話で、ないないづくしの中はじめました。

百瀬さんが営む古本屋「庭文庫」は2018年の4月に開店しました。庭文庫は、本来ならば捨てられてしまうかもしれない古本と町の人との新しい出会いの場を、恵那市笠置町という田舎町に提供する古本屋です。店舗は築100年の古民家をリノベーション。はじめのうちは、一目ぼれをして選んだこの物件をなかなか借りられなかったといいます。それでも、当時知り合った園原さんの後押しを受けて出張古本屋として活動するうちにメディアにも取り上げられるようになりました。SNSでのつながりから協力してくれる人も増え、約1年後に念願かなって物件の大家さんの許可を得ることができました。

百瀬さんのお話の中でも、地元の人たちや職人さんとの関わりについての話題があがりました。限られた資金の中でやり繰りをするなかで助けとなったのは、大家さんやSNSでの友達といった周囲の人たちとの交流だったそうです。古本からその他の備品に至るまで沢山のものがみんなの手によって集まり、庭文庫の内装として再び役目を果たしています。何もない状況からはじまり、様々な人と出会いながら自分たちの店を開いた百瀬さん。今後地方で自分の店を持ちたいという参加者へむけた一つ目のアドバイスとしての「まずは小さなことから始めてみよう」という言葉が印象的でした。

この夏、お二人のお店に行ってみてはどうでしょうか。
HYAKKEI:https://www.facebook.com/sharecafe.hyakkei/
庭文庫:http://niwabunko.com/

今回のセミナーは、全7回が大阪で予定されている「清流の国ぎふ暮らしセミナー」の第1回でした。今回はゲストと参加者の距離が近く、終始ゆったりとした雰囲気の中でお話を聞くことができました。実際に移住をしたゲストのお話を聞くことができるこのセミナーは、今後移住を検討している人がはじめの一歩を踏み出すための有意義な機会になると思います。お二人の話にあったように、色々な人と関われるのも地方移住の魅力。セミナーのほかにも、7月26日には大阪市内で岐阜をテーマにした交流会が開催されます。この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。きっとそこでも新しいつながりが生まれると思います。

(セミナーリポート 大学1回生 R.O.)