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【8月25日セミナー】「地方で好き!をカタチにする。古民家×場のはじめ方」開催レポート

【8月25日セミナー】「地方で好き!をカタチにする。古民家×場のはじめ方」開催レポート

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岐阜で活動する人、岐阜で暮らす人を毎回ゲストにむかえてこれからの暮らしをイメージしたり、おもしろい人や地域とつながるイベント「清流の国ぎふ暮らしセミナー」。ほぼ毎月、東京、関西(京都・大阪)、名古屋で開催しています。
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  8月25日に、清流の国ぎふ暮らしセミナー(名古屋会場)「地方で好き!をカタチにする。古民家×場のはじめ方」が、大垣共立銀行OKB Harmony Plaza名駅で開催されました。

近年よく聞くようになった「移住して古民家をリノベーションしてお店を始める」という場の始め方。
その関心の高さを裏付けるように、なんと30名の定員に対して50名近い申し込みがあり、会場は超満員となりました。

今回のセミナーのゲストは、恵那市で古本屋「庭文庫」の店主 百瀬実希(旧姓:中田)さんと、高山市で民芸の器を扱うセレクトショップ「やわい屋」の店主 朝倉圭一さん。

古民家を拠点にそれぞれの「好き!」を形にしたお二人の話から「岐阜での最初の一歩の始め方」を探っていきました。

やりたいことがあったわけじゃなく、好きな人がいたから移住した

古本屋「庭文庫」の店主として活動する百瀬実希さんは、沖縄県出身。
大阪の大学を卒業後、就職を機に住んだ東京で現在庭文庫を共に営む百瀬雄太さんと出会い、2016年に岐阜県に移住しました。

百瀬さん:「ベストセラー以外の本を買える場所がないのが寂しくて、二人で古本屋さんをしようと思いました。岐阜に移住したのは、「好きなことを仕事をするため」ではなくて、好きな人がいたから岐阜に来たのが理由です。」

百瀬さん:「移住した当初は仕事も決まっていなくて、二人で古本屋さんをしようと思っても、お金も物件も人脈もないところからのスタートでした。

そんな時に恵那市でローカルメディアを運営する園原さん(岐阜県移住定住コンシェルジュ)のTwitterを見て、恵那市地域おこし協力隊の募集を知り、働き始めました。」

平日は、地域おこし協力隊として移住相談や空き家バンクの業務に携わっている百瀬さんですが、なかなか良い物件が見つからなかったのだそうです。

百瀬さん:「すごく素敵な古民家に出会いましたが、家主さんからは『貸すことはできない』と言われたんです。身元もわからない当時25歳のカップルが『ここ使わせてください!』と言って、『いいよ』と言ってもらえるほど古民家を借りるのは甘くなかったんですね。

どうしようかなと思っていた矢先、当時NPO法人えなここの事務局長の園原さんに『場所がなくても、出張古本屋として始めたらいいよ。えなここの事務所でマルシェがあるから、そこで出店しなよ』と言われました。

その通りだなと思ったんですが、当時の本の在庫は30冊。ダメ元で『読まなくなった本無料で送ってくれませんか?山の中で古本屋さんしたいんです』とツイートしたら、全国からたくさんの方が本を送ってくださって、在庫が300冊まで増えました。』

2017年1月には出張古本屋として庭文庫をスタートし、NHKの連続テレビ小説「半分、青い。」で注目を浴びた恵那市の岩村城下町や、図書館のイベントなど、約月1回のペースで10ヶ月ほど出張古本屋として活動。

古本の数は2000冊に上り、メディアにも取り上げられるようになり、ついに大家さんから古民家を利用する許可が出ました。
10年間空き家だったという古民家を、お掃除会を開催するなどして店舗として利用できるようにして、2018年4月に実店舗として、庭文庫をオープンさせます。

庭文庫の店舗は、恵那駅から車で15分くらいにある、山と木曽川に囲まれた一軒屋。
百瀬さん:「古いタンスや古材を使って、本棚や机にしています。ガラスも窓も、そのまま古いものを使っているのでかなりガタがきているんですが、古いガラスは可愛いなと思っています

好きをカタチにするための3つのアドバイス

最後に百瀬さんから「地方で何かを始めたいあなたへ」と題して、3つのアドバイスがありました。

1つ目は「信頼できる協力者を一人作ろう」。
百瀬さんが古本を集めたりイベントに出店したりするようになったのも、周囲の人の協力があってこそのもの。やりたいことをやりたいと言うこと、できる範囲で始めてみることが鍵になります。

2つ目は「好きな人(恋人、友人でも)を見つけよう。」
「好きな人の繋がりから、広がっていくこともあります」と話します。

3つ目は「冗談なんですが」と前置きしつつ「6ヶ月無職でいられる貯金をしよう」。
「私も6ヶ月無職でいられる貯金だったかどうかは微妙なんですけど、貯金があるとこころ穏やかに移住できるかなと思います」とのことでした

土地も家の情報も、自分で探しに行く

続いてのゲストは、岐阜県高山市で民藝と雑貨と古本を扱う「やわい屋」の朝倉さんです

朝倉さんは元々高山市の出身。18歳の時に愛知県に移り住み、27歳の時東日本大震災をきっかけに「このまま働いていくのは難しい。30代になるまでに30代の仕事を決めよう」と考え、仕事を探す中で民藝店という仕事を選んだのだそうです。

朝倉さんからは、実体験を踏まえて、古民家やお店の始め方に関するさまざまなアドバイスを話してもらいました。

まず最初は、移住を考えている土地の情報の集め方。
朝倉さん:「図書館に行くと、地域の様々な情報がアーカイブされています。それから「喫茶店などに通って『近くに移住してきたいんですけど、この辺ってどんな地域ですか?』と聞けば、喜んで教えてくれます。」

「古民家」については「空き家バンクや不動屋さんの情報を頼りに探すよりも、現地に行って商店の人などに『この辺に空き家はないですか?』と聞く」方が有効だと話します。

朝倉さん:「聞いてみると『○○さんのところが空いとって、もう帰ってこんから大丈夫なんじゃないか?』とか無責任なことをみんな連発して行くので、100ある無責任の中に1個くらい本当に貸してくれる方とかいらっしゃったりするんです。」

続いての話題は、お店をやる上での注意点へ。

朝倉さん:「田舎とか関係ないかもしれないけど『周りにこういう店ないよね』って始めるとけっこうしんどくなることが多いです。結局クオリティが高くないと続かないので、どこにあっても同じものをやっても続かないんです。カフェとか飲食業は特に、大きな資産や資本が入って来たら終わっちゃいます。」

その上で朝倉さんは、他のお店を見て学ぶ方法についてアドバイスします。

朝倉さん:「一番これがいいとか、この人がすごいって思っている人のところに行くことと、逆にこのやり方じゃ潰れるんじゃないかと思うものを定点観測して、何がダメなのかを考えると良いです。

朝倉さん:「それから、場所は分かりづらくてもいいけど、動線管理に徹底的にこだわること。
 場所の説明がしにくいのはお店をやる上でめちゃくちゃまずいですね。お客さんに来てもらうのに苦労します。」

当たり前のことを続けていく

「わざわざ来たくなること、空気感があること、当たり前であること」を大切にしていると言う朝倉さん。お店を始める・続けるということについて、最後にこう続けます。

朝倉さん:「誰でもできることを続けることは難しいですし、すごく大事だなと思っています。ぱっと見面白い派手なことは簡単に思いつくし、いける!と思って始められるんですけど、そういうものすぐに真似されるんですよね。

でも、誰でもできる当たり前のことは、すごく周りに認めてもらうのは時間がかかるんですけど、続けていくとすごい強い基盤になっていきます

トーク終了後、参加者の方から古民家について多くの質問や感想がありました。
一部を抜粋してお伝えします。
ーリノベーション、移築や開業にどれくらい資金がかかっているのか。また、生活が成り立っているのか?

朝倉さん:「移築に関しては、新築するのと同じくらいお金はかかります。ただ、やり方と、どこまでやるかによります。断熱装置を家全体にするのか、一部だけにするのかによっても違います。食べていけるかというと、うちの場合は食べていけていますね。」

中田さん:「庭文庫は賃貸で借りています。古民家を直すお金は、大家さんが建設業者さんだったので直してもらいました。水回りは元からきれいだったのでラッキーでした。

食べていけているかというと、古本だけではできていないです。ネット販売や宿をこれからやりたいと思っています。」

 

「清流の国ぎふ暮らしセミナー」は、名古屋・東京・京都・大阪で順次開催していますので、ぜひご参加ください!
レポート担当:古井 千景(大学4回生/岐阜県出身)